勝ち組投資家の原理原則である、「水滴石穿(すいてきせきせん)」。
今回はこの、原理原則を紐解いてみたいと思います。
「水滴石穿」とは?
水滴は1滴の水、石穿は石に穴を空けるということ。穿つ(うがつ)とは穴を空けるということです。1滴の雫でも同じ場所にひらすら落ち続ければ、石に穴をあけてしまうということです。
小さな力でも積み重ねれば、大きな力になる喩えで、わずかな努力の積み重ねがやがて大きな成果になるという四字熟語です。
今や僕の座右の銘でもある「水滴石穿(すいてきせきせん)」
投資家としてももちろんですが、投資・ビジネス・人間関係・健康など、人生の全てにおいて「小さなことの積み重ね」が重要なんだと思います。
勝ち組み投資家(トレーダー)こそ「小さな勝利」を積み重ねる
超一流のボクサーでもいきなり「右ストレート」は入らないですよね?
「左のジャブ」をこれでもか!ってほど打ち込んで、それでようやく「右ストレート」が打てるんですね。いきなり右ばっかり狙っていれば、逆に「カウンター」をもらってしまうかもしれません。
アホになって、とにかくしつこいぐらいの「左のジャブ」。左の精度・スピード・重さを磨く。そうすれば自ずと常勝トレーダーへの道が見えてくると思います。
僕も最近調子が悪いなぁと思う時ほど、基本の左を忘れているんですね。
44年無敗の投資家北野会長も言っています。
「白波は永遠。おちょこでどれだけすくうかや」
うぅ〜ん、改めて読んでみても深いですね。
相場の波は永遠ですから、決して焦ることはないんですね。その波を「おちょこ」で1杯1杯すくっていくだけ、1杯の積み重ねなんですね。
例えば、あなたが営業マンだとして、大型案件ばかりを狙って果たしてうまくいくでしょうか?
大型案件はそんなに一杯あるでしょうか?
まずは小さな案件を受注し、実績・自信・経験・技術を積んでいく。
そうやって次第に中型案件・大型案件を受注できるようになっていくと思います。
投資も同じですね。
まずは、小さな勝ち積み重ねていき、実績・自信・経験・技術を磨いていく。
大きなチャンスはそんなにしょっ中あるものでもないし、いつ大きなチャンスが来るかもわからないし、取れるかもわからないし、経験を積んでいなければ、それも「もの」にできませんからね。
慎重な「ワンロット」戦略を貫くことの重要性
またも、僕の永遠のバイブル「マーケットの魔術師」より、慎重なワンロッド戦略の重要性ががわかるトニー・サリバのエピソードを紹介したいと思います。
マーケットの魔術師の多くは、キャリアの最初で失敗しているが、トニー・サリバほどひどい例はない。
サリバがシカゴ・オプション取引所の事務員として仕事を始めた頃、あるトレーダーが彼と5万ドルの賭けをした。サリバはボラティリティ・スプレッドのロング(市場のボラティリティが拡大すると利益の出るポジション)に投資した初めの2週間は順調で、当初の5万ドルが7万5000ドルに上昇した。自分が天才かもしれないと思ったサリバは知らなかったのだが、買った時はボラティリティの高い時期に入っていたため、結果的に彼は非常に高いコストでオプションを買っていたのだ。
その後、市場の風向きはがらりと変化し、6週間後にサリバの手に残ったのはわずか1万5000ドルだった。当時を振り返って、サリバは「自殺しようかと思った。1979年5月にシカゴのオヘア空港でDC-10が墜落したのを覚えているかな。僕が一番ひどい状況だったのは、ちょうどあの時だったよ。」と述べた。「あの事故はあなたの状況を象徴するものでしたか」「そうだなぁ。あの時の飛行機の乗客を立場を入れ替えてもいいとさえ思っていた。それくらいひどい状況だったな。もう、人生ぶち壊しだと思うほどの失敗だ。」
散々なスタートだったが、サリバには1つ重要な強みがあった。粘り強さだ。最初の失敗でトレーディングをやめてしまいそうになったものの、結局、踏みとどまり、続けることにした。彼は経験豊富なプローカーにアドバイスを求めた。自分を鍛錬し、やるべき準備をきちんと行う事、短期間に大きく儲けるのではなく、安定的にまずまずの利益を得ることの大切さを学んだ。
サリバはこうしたアドバイスを心に刻み込み、それまで扱ってきた極端に変動の激しいレテダイン社のオプション取引をやめて、値動きの小さなポーイング社のオプション取引に取り組んだ。のちにテレダイン社の取引に戻ったとき、慎重になっていた彼の注文サイズがあまりにも小さかったため、ブローカー仲間からからかわれて「ワンロット」(1単位)とあだ名をつけられた。サリバはこのときも自分の意思を貫き、からかいを気にすることなく、慎重な手法を変えなかった。結局、粘り強さとリスク管理の組み合わせは成功し、10万ドル以上の利益を70ヶ月連続で達成したこともあった。
「安定的にまずまずの利益を得る」ことの大切さ
安定的にまずまずの利益を上げる方法を身につけると、投資が「つまらなくなる」というか、「物足りなくなる」感じがあります。しかしそれでいいんだと思います。
大きな勝ちは、確かに嬉しいしその時は気持ちいい。しかし、そのような大物狙いは、常に右ストレートを狙っているようなもので、運に頼る部分も多い。精神的にも安定しない。
常勝トレーダーほど、淡々とやるべきことをやるだけ。少額でも日々、月々がプラスであれば、利益は無限大だし、緩やかでも右肩上がりであれば、精神的にも安定する。
この「ワンロット戦略」で「安定的にまずまずの利益」は、そんなに難しくありません。難しいのは続けること。これができないから、結果的に投資家の9割は負けてしまうのだと思います。
トレーディングで勝ち始めると、どうしても人は勘違いをしてすぐにロッドを上げてしまう。ずっと勝ち続けることなどできないのに、ロッドを上げてしまい大きくやられてしまう。または負け始めた時に、すぐに取り返してやろうとロットを増やしてしまう。
あなたも一度は経験したことがある耳の痛い話だと思います。
相場の波は永遠。
1滴の雫もやがて穴を空けるのです。
自分の意思・手法を貫くことが重要
人の意見やニュースで自分の意思・手法・判断が狂わせられることには特に注意が必要です。上手くいかなくなってきた時は、たいてい自分のフォームが崩れている場合が多いように感じます。
自分なりのスタイルが確立しているのであれば、常に「自分の型は崩れていないか?」と定期的にチェックする習慣が必要だと思います。「言うのは易し、行うは難かし」ですが、最初はなかなか上手くいかなくとも、そういった意識を持っているだけでも違うと思います。